| 北村:御社のお仕事の内容から教えていただけますでしょうか?
中川社長(以下中川):感動葬儀をコンセプトに心で亡くなった方を送るという仕事をしています。
そもそもお葬式というのは一般的な流れはほとんど変わりません。お坊さんが来て
供養するというところは我々もきちんと守って行っています。
ただ、そこから先のところが大きく違ってきます。
お経を上げる時間というのは長くて1時間くらいですが、前後に数時間あるわけです。
その時間と空間を使ってその人がどんな人生を送ってこられたか、家族の方の想いを表現させていただいています。そこが今までの葬儀と大きく違うところになります。
例えば亡くなった方が自分で自分のお葬式をこんな風に演出するんじゃないかとか、そのひとが好きだったものとか大切なものだったりなどをご家族の方とのお打ち合わせを通じてさまざまな形にして表現していきます。
北村:拝見させていただいたところ太鼓を叩いて送り出すだとか普通のお葬式とは随分違った印象を受けますね。
中川:そうですね。出来上がったものはそのひとらしさを前面に押し出していきますので。
普通は一定の決まったかたちがあって当てはめていくだけですから、誰のお葬式でも同じですが、私どもの場合は毎回違ってきますね。
期間自体が1日あるかないかですので徹夜になることもしばしばです。
大変といえば大変ですが、そこが一番の特徴ですし、逆にそれがなかったらお客さんも私たちにお願いする意味がなくなってしまいます。
北村:お客さんの反応はどうですか?
中川:すこぶる良いですね!非常に喜んでいただいています。実は最近私どもも気づいたんですけど、お葬式が終わった直後は演出によって感動していただいていますが、それからしばらくするとそれが感謝に変わってるんです。この短い時間でこれだけのことをしてくれたことに感謝している、と。
言ってしまえば他人が死んで他人のお葬式なのにも関わらず、色々なことを考えて思ってくれた心づかいに感謝しているということを言われるわけです。
私たちは終わってからあの演出が良かった、あれはどうだといった話をしているのですが、確かにそれもあるのですが、みなさんの印象に最後まで残っているのはその心づかいに関する感謝の心なんだなと思います。
北村:この事業を始めようと思ったきっかけは何でしょうか?
中川:いくつかあります。前職でこんな結婚式を挙げたいというニーズに答えるという会社を立ち上げから手伝わせていただいた経験をもとにお葬式でもそういったニーズは眠っているだろうと考えました。
それがお葬式だから・・・といった言葉で打ち消されることはおかしいなと思っていました。
私自身同年代の方と比べてお葬式に足を運ぶことが多かったのですが、毎回誰のお葬式なのかが分からないんですよ。お焼香を上げにいくと嫌な暗い演出になっています。
いったいこれはなんだろう?と疑問に思っていました。
自分だったらどんな風に生きてきたのかを知らせたいだろうし、家族も最後くらいは感謝の気持ちを表したいと思うんですね。
誰もやらないなら自分がやろうと思ったのがきっかけでした。
北村:起業しようということはもともと考えられていたんですか?
中川:そうですね。小さいころからそういうイメージがありました。実家は自営業でしたし、東京の下町だったので環境の影響もあったと思います。
ただ、最初は何をやりたいというものもなく、まず社会と会社を知るためにメーカーに就職しました。
そのときに漠然と最長5年経ったら何も無くても辞めようと決意していました。
勤めてちょうど2年目の4月くらいに電車で高校の先輩に何年ぶりかに会って年末くらいに会社を立ち上げようと思うんで、手伝わないかということでした。
その年の夏くらいに携帯に電話がありました。今、会社にいるの?今すぐ会社に辞めるって言ってきてくれない?ってその先輩が言うんですね(笑)。
年末くらいっていってたんだけど、今すぐ立ち上げないといけなくなったから、お前も辞めてこっちにすぐ来てくれっていうんです。
とりあえず次の日には辞めると言って、1ヶ月後には新しい会社の立ち上げに取り掛かりました。
それが結婚式を手がけるテイク&ギブニーズです。そのときは結婚式ビジネスに特段興味があったわけではないんですけどとりあえず面白そうだったからという理由で参画しましたね(笑)。
北村:すごいですね(笑)。迷いはなかったんですか?
中川:迷いはなかったんですが、上司にプライベートの面でも良くしてもらってましたので、それが唯一心苦しかったことがありましたね。
不安よりも楽しみのほうが大きかったですから。
その後T&Gを辞める必要も無かったんですけど独立心がまたふつふつと沸いてきて、2002年に今の会社を立ち上げました。
北村:立ち上げで苦労されたことは無かったんでしょうか?
中川:今も大変ですけど(笑)。やっぱりお葬式というのはいつ起こるかわからない、待っていないといけないので、攻める先がないことに苦労しましたね。
結婚式は結婚情報誌など知ってもらうための場所があるんですけど、お葬式はとっかかり自体がないんですよ。
あとは病院とか警察にいかに食い込んでいくかということになるんですが、小さな会社がなんのつてもなくは難しいんですね。もう既にどこかが入り込んでいますから。それをやりだすと費用がかかるんです。
例えば24時間365日病院に最低2人を待機させないといけないということがあったんです。
そうすると見合わないわけですよ。
それだったらBtoCで直接消費者の方に支持してもらわなければならないだろうということで、病院や警察は我々の戦う場所ではないと判断していますね。
北村:思い出に残っている葬儀ってございますか?
中川:そうですね。毎回個性的な葬儀になりますのでどれも印象深いんですが・・・。
例えば37、8歳の息子さんで、お父さんが68くらいに亡くなられて、うちに葬儀に依頼をいただきました。
ひとこと「うちの親父を競馬で送ってくれ」っていうんですね。
その後色々とお話をお聞きすることになったんですが、日本の男親子ってあんまり会話しないじゃないですか?唯一話をするのが競馬だったんですね。競馬の話をするときは親子の垣根を越えて盛り上がっていたそうなんです。そんな思い出のある競馬でお父さんを送ってあげたい、そういった想いを感じとることができました。
そこで出棺のときには中山競馬場をイメージして人工芝を敷いてファンファーレで送り出しました。
こういった感じで我々はご家族の思いを表現しているだけに過ぎないんですよ。
北村:今後の展開についてお聞かせいただけますでしょうか?
中川:これからもお葬式は多様化してくると思いますので、ひとつひとつの演出のクオリティーを上げて皆さんに満足してもらいたいと思います。
また、現在いくつかのサロンを出店していますが、この数も増やしていって、我々の感動葬式の認知度を上げていかなければならないと考えています。
北村:本日はお忙しいところ、ありがとうございました。
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