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北村:起業までの経緯についてお聞かせいただけますか?
高井社長(以下高井):大学卒業してすぐリコーに入社しまして、開発から開発企画、営業統括、情報システムといろいろセクションを回りました。もともとは技術屋なんで、開発の同期からはよく外回りなんてできるなといわれてましたね(笑)。でもそのときの経験が起業するときに役に立ったと思っています。
36歳で会社を立ち上げて、もう今年で25年になります。
やはりお客様は大手の技術開発部門で、特許を扱う仕事を始めました。
特許からこの技術は将来どのように推移していくかということを分析していたのですが、具体的にいうとこの技術に関して特許がこれだけとられている、どこの会社がどれだけとっているといったかたちで定量化することで説得力のあるレポートを作成していました。
しかし、膨大なデータを集める手間隙を考えるとあまりお金になる仕事ではなかったですね。
そういうこともあり、研究者向けの情報提供ということに徐々にに業務を変えていきました。
ただ、今はご存知のとおりインターネットを初めとして情報は溢れかえっていますよね。
今までは手に入りにくい情報を収集して提供することでお客様のニーズに答えることができましたが、今は情報なんて誰でも手に入れることができるようになりました。
そうするとただ右から左へ供するだけではビジネスとして成り立たなくなってきたのです。
例えば農作物ですと、江戸時代なんかだといかに一定以上の量が取れるかといういことが重要だったと思います。まだ技術が発達していないため、飢饉なんかで安定して収穫ができなかったからですが、現在はどうでしょうか?値崩れを防ぐために逆に捨てたりしていますよね。
今求められていることは量を作ることではなく個性のあるものを作り出すことになってきています。
そういった物の生産と同じく情報も量より個性、質といったものが問われるようになっています。
つまり、今後はシステムを組んだりソフトウェアを開発したりといったことは成熟してしまい、
もう一度原点に立ち返って溢れかえった情報をセレクションする人間が介在するということが重要になってくるのだと思います。
北村:特許ビジネスの市場規模の推移についてお聞かせいただけますか?
高井:伸びてますね。国際時代になってくると特に重要になってきます。アメリカなんてうるさいですよね?
大手企業間でも製造停止や損害賠償なんていう訴訟件数がかなり増えています。日本もアジア諸国を訴えるケースが増えていますし。
あと最近怖いケースとしてベンチャーが始める新しい事業について大企業が取得している特許を侵害していたとしても最初はあえて伝えないというケースがあります。
豚は太らせて食えじゃないですが、ある程度シェアが伸びてから一気に訴訟を起こすというケースがあるんです。
過去にさかのぼって全部責任を取らせることができますし、あとは苦労して開拓してくれた市場をひっくり返していくだけでいいんですから。
ですので最近はきちんと特許を管理しているベンチャーも増えていますね。
あとは特許の怖いところして、内容を明確に書かずにわかりにくくするところがあるんですよ。
おおっぴらに自慢するためにあるのではないのでなるべく知られないようにいくつも分散して取得しています。
読み方も書き方も独特のものがありますし、手強いですよ。外国とのやり取りになるとまたさらに違ってきますし。
北村:特許ビジネスの魅力はなんでしょうか?
高井:常に新しい技術に携わっていくことですね。世の中がどうなっていくのか、この技術がどういう風に使われていくのかが長年やっているとわかってきますね。10数年前にテレビ会議がでてくるというときは本当にSFの世界だったのですが、今じゃ当たり前ですよね?
ただ、世の中がどんどん便利になってくるのはいいのですが、言い方を変えると横着になっているということだと思うんです。
人間と人間のじかのコミュニケーション機会がなくなってしまうんじゃないかということがひとつ気がかりですね…。
北村:社長にとって会社経営とはなんでしょうか?
高井:母親が子育てをするようなものですね。子供の虐待・放置などの事件を多々見聞きします。企業にとってもただ儲かるからとか駄目で元々といった安易な即断で会社を立ち上げるケースが多くなっている気がします。
子育てに必要なことは言うまでもなく子供の欠点を含めた深い理解、愛情、そして自分への見返りを期待しない親としての責任が基本でしょう。
会社経営でもまさに同じで、仕事 の深いスキル、仕事の愛着、社会貢献意識がベースとなってくると思います。
母親が自分の食べ物を分け与えるように会社の育成のためには私財を投げうつことを厭わないという精神が必要です。
今私の生んだ会社は20歳を越えました。”彼”に頼らずしかし、見守りつつ、少しずつ私から離れ独自な成長を続けていって
欲しいものだと思っています。
北村:本日はありがとうございました。
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